平成28年度大川家具職人塾
平成28年度大川家具職人塾
第二課題カップボード製作
平成28年度第39回、40回目(最終回)
平成29年
3月25日(土)
午前:
塗装素地調整
午後:
サンジング吹き付け
3月26日(日)
最終吹き付けと
扉、引出の取っ手、蝶番の取り付け
ガラスの取り付け
完成








完成品

終了証書授与式に臨む大川家具職人塾受講生5人のメンバー

大川商工会議所会頭から全員に終了証書が手渡された

大川インテリア研究所に展示されたカップボード

大川商工会議所にて一時展示されるカップボード
歴史をつなぐ!大川家具職人塾
この職人塾も2年を経過し、3年目を迎えようとしています。職人としての取り組みは芸術家が己の才能を活かして個性的家具を作るのとは異なります。しっかりとした技術を学び伝統ある家具を作れるようになることが目的であります。技術を学ぶとは教えてもらうことではありません。道具を通して木と対話することであり、木から学ぶ姿勢が大切だということです。私はそのことを心情として来ました。職人塾という機会にめぐまれたもののそういったことを伝えることのできる場所がありませんでした。幸い、昔、諸先輩たちの力で立ち上げられた大川インテリア研究所に残る歴史ある工房を使用できる偶然に出くわすことができたのでした。遠い昔の伝統よりも大川にはまだ身近に、つい最近の歴史の足跡が残されています。新しいデザインに翻弄されていく一方で、そういったものが忘れ去られようとする中、大川家具職人塾に引き継がれるものが見いだされて来たことに感涙の思いであります。塾生諸君にはそいう歴史をつなぐ使命感を持っていただきたいし、誇りを持っていただきたい。それこそがこの職人塾の開校を決断された大川商工会議所会頭以下職員皆さんの望まれることではないかと推察しているしだいであります。
2017.03.28
平成28年度大川家具職人塾終了にあたって
平成28年度 第37回、38回目
平成29年
3月11日(土)
3月12日(日)
カップボードの組み立て
引出組み立てと取り付け
引き戸、開き戸の取り付け
組み立て完了

引出しの組み立て




引出しの取り付け


引出し取り付け完了、後は前板の面取り






B班カウンテー付きカップボード、組み立て終了


A班カップボード組み立て終了
次週塗装
いよいよ次週で今季の終了となります。生徒諸君のアンケートを読ませていただきました。おおかた良かったという結果に安堵しております。しかし昔の職人の世界を垣間見た者として、言わせていただくと、職人の世界はこんな悠長な世界ではなかったということです。どういうものであったかは話で伝わるものではありません。今回、前期は5名20回でカップボードを1台仕上げ、後期は同じ20回で本格的なカップボード2台を私を加えて6名で同じ時間で完成させたことになります。3名で20日間かかって1台完成させたことになります。それでも実際に食っていける量をこなすには遅すぎます。職人の仕事がいかに早かったか!次期3期目にはもっと早くなるのでは?指導する私が追いつかなくなることを期待しております。
アンケートの中で、分業で関われなかった工程や、良し悪しの原因、対策を理詰めで説明がなかったのが残念という貴重な反省の言葉がありました。まさしくそれが職人の世界を体験した証拠でもあります。職人の世界は見て覚えよ!決して教えてもらえない、俺の仕事を見ておけ!しかし盗ませてくれる世界でもあります。先輩たち、あるいは師匠の一挙手一投足を見落とすまいとする姿勢が必要とされるのです。これが一般的な教え方と職人塾の異なるところではないかと思っております。又、この大川家具職人塾が職人集団としての歩みを始めた証でもあります。
平成28年度 第35回、36回目
平成29年
2月25日(土)
2月26日(日)
カップボードの組み立て
天板とカウンター(上部底板)の取り付け


下部、天部分の鉋による水平さらいA班

カウンター(上部底板)の取り付け調整B班

天板の取り付けB班


天板の取り付けA班

引出前板調整B班

引出側板調整B班

カウンター(上部底板)の取り付けB班

ロッキングマシンによる側板板と向う板の組手加工




ダブテールマシンによる引出前板と側板の蟻接加工



ダブテールマシンによる前板と側板の調整には微妙な調整が必要なため、
意外と時間を要していまい、引出の組み立て加工に入る
直後に時間となり次週となる
平成28年度 第33回、34回目
平成29年
2月11日(土)
2月12日(日)
カップボード組み立て開始
組み立ての準備に多くの時間を費やしたが、組み立てにはそれほど時間はかからない。実は組み立てより以上にその準備こそが重要な時間であったことを塾生自身が体験することができたはず。それを経験できることが、この職人塾の存在する意義でもある。ある程度の経験でも丁寧に作りさえすれば誰でも家具の一つや二つは作ることができるようになる。しかし昔からの伝統的でオーソドックスな家具を作るには、経験して見なければ伝わらないものが多くある。その意味で職人の道は孤独でもある。この経験が次の段階を目指すモチベーションに繋がることに期待したい。











本来箱物家具の組み立てには、木工用プレスがあるのが
あたりまえである。塾生にはシメハタで苦労をかけた。
しかしこれも経験、経験に勝る先生はない。
平成28年度 第31回、32回目
平成29年
1月28日(土)
1月29日(日)

毎回、仕事始めには鉋やノミの研ぎと削りの練習から入る。
研ぎ場が少し狭いかも?













組み立て準備が整い次週には組み立てに入れるだろう!
平成28年度 第29回、30回目
平成29年
1月14日(土)
1月15日(日)
先回に引き続き1班、2班ともそれぞれ部品加工と組み立て準備で終了
写真を撮る間がないほど作業に集中した2日間だった。
平成28年度 第27回、28回目
平成28年
12月10日(土)
12月11日(日)
1班、2班とも引く続き側板、ガラス戸、引き戸の框組加工と組み立て作業





鏡板と框の間にはどうしてもわずかな段違い(メチガイ)が生じる
それをさらう(浚う)には高度な鉋の技術が必要となる





平成28年度 第25回、26回目
11月26日(土)
午前:9:00~
大川市役所と大川商工会議所の計らいで大川市現代の名工の
家具工房見学が実現しました。
家具工房「西田」





11月27日(日)
9:00~10:00
鉋かけ、刃研ぎ練習
10:00~
はじめにひとこと:
柳宗悦は昭和17年~18年頃に執筆された「手仕事の日本」の前書きの中で以下のように述べている。
西欧では機械の働きが余りに盛んで、手仕事の方は衰えてしまいました。・・・・・それで各国とも手の技を盛り返そうと努めております。
なぜ機械仕事と共に手仕事が必要なのでありましょうか。機械に依らなければ出来ない品物があると共に、機械では生まれないものが数々あるわけであります。凡てを機械に任せてしまうと、第一に国民的な特色あるものが乏しくなってきます。機械は世界のものを共通にしてしまう傾きがあります。それに残念なことに、機械はとかく利得のために用いられるので、出来る品物が粗末になりがちであります。それに人間が機械に使われてしまうためか、働く人からとかく悦びを奪ってしまいます。こういうことが禍いして、機械製品には良いものが少なくなってきました。これらの欠点を補うためには、どうしても手仕事が守られねばなりません。・・・・
アメリカのある経済学者の名言
今や人間は自分の召使いとして生み出した仕組みの召使いである。思考も、行動も
We are becoming the servants in thought, as in action,
of the machin、we have created to serve us. NHKテレビテキストより
参照:機械と人間の関係 のページ
午前:11:00~
框と鏡板の加工と組み立てと仕上げ




平成28年度 第23回、24回目
11月12日(土)
9:00~10:
鉋かけ、刃研ぎ練習
10:00~
框組部品の加工

鏡板

框

11月13日(日)
9:00~10:
鉋かけ、刃研ぎ練習
10:00~
朝の鉋がけ練習(毎回9時から10時)





鉋がけの練習の合間に薄削り合戦

側板框組開始







平成28年度 第21回、22回目
10月22日(土)
10月23日(日)
大川市木工祭りをはさんで約1月後の職人塾となった。







平成28年度 第19回、20回目
9月24日(土)
9月25日(日)
10月8日(土)~20日(月)開催の大川木工祭りに出展がきまった。課題1のカップボードのガラスの取り付けとガラス戸蝶番の取り付け、引出しとガラス戸の取っ手取り付、裏板の取り付けなど
引き続き課題2カップボードの製作
※ 今回カメラを忘れたために映像がありません。
次週に課題1カップボードの完成品の写真と今週の課題2カップボード製作終了分の写真を掲載することにしています。

第一課題カップボード完成品
およそ半世紀前までの大川には数多くの職人が現役で働いておりました。16、17才の弟子入りから20代の弟子あがりが居て、30、40代の中堅に、工場長クラスの上に60代から80代のベテランが「50、60はまだ若僧70で一人前」と言いつつ働いていた時代でした。その家具職人の世界を垣間見たことのある者として、思い越して見ますと、当時の大川の家具と言えば量産を考えたフラッシュ構造の家具が主流で、重くて古臭い家具に対して軽くて使い勝手の良い大川家具として全国に知られておりました。今日、フラッシュ構造と言えばパーティクルボードを芯にした簡単に機械加工できる代物ですが、当時のフラッシュは職人の技術によって本物の木と見まがうほどのすごいものでした。今回展示のカップボードは一部棚板等にその技術を生かしておりますが、全体は和を主にした民芸家具などに見られる框組によるホゾ接ぎを主にして、台輪部分にはフラッシュ構造から生まれたデザインを取り入れ、今ではレール付になってしまったヨーロッパスタイルの引出しに対して、当時大川のメーカーには必ずと言って良いほど置かれていたダブテールマシンを復活させ、前板とカキ板(側板)、向こう板の接合に蟻接ぎと組手接ぎを取り入れ、引出しの取り付け加工技術をマスターすることに力点を置きました。
木材に関しては日本を代表する家具産地、大川の家具にふさわしくするために福岡県産材の桧を地元の木材市場より取り寄せて使うことを主眼として来ました。ご承知のとおり、桧は軽くて丈夫な日本を代表する高級建築材、そんじょそこらの家具に使用することはためらわれてしかり、しかし、間伐材を使うことで可能になるのではということで、以前から実験、使用してきた経験から、70年から80年に近い材で径30~40センチあれば、節の合間を使用して家具に応用することが可能なことを実証してまいりました。周知のことですが、桧を使いこなすには日本の道具特に台鉋を使いこなすことが必須条件となります。塾生諸君には毎回、最初に鉋の刃研ぎから鉋がけの特訓を経て今回の製品に到達しました。
本当に職人と言われるまでには1年や2年の修業で足りるものではないかも知れませんが、その成果の一端を発表し、皆様に見ていただくのは当然のことではないかということで今回の発表となりました。まだまだ逆目の痕とか面取りのムラなどが見られますが、次の機会にはもっと完成度の高いさらなる上級を目指して塾生たちの研鑽は続いております。
次にご期待を!
平成28年度 第17回、18回目
9月10日(土)
9月11日(日)
第1課題カップボードは初めての実製品でもあり、上下を2班に分けて製作するという変則的なもので、まだまだ未熟な点が目立つものであった。その反省点を踏まえ、第2課題カップボードは1班、2班それぞれでカップボード一台を完成させることにした。したがって第一課題の失敗箇所などを反省して、今度は完璧な製品を目指すこととする。そのため指導する側も製作に積極的に関与するため、今後製作プロセスの写真はその日その日の終了時のコマ撮り写真となる。
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