家具の値段は何によって決められているのでしょう?

家具の値段は何によって決められているのでしょう?
昔は職人の技量と仕事量で決められていたのではないでしょうか?家具は職人によって作られるものと決まっていたからです。しかし経済の発展とともに家具の値段が変化しだしました。大量に作ることが求められるようになると最初は職人の技術が頼りでしたが、職人が不足し、職人の手当が高騰すると、それを補うために機械を導入、職人が居なくても生産可 能なシステムが確立して行きました。おそらく職人の技術頼みだけであったら今日のような高度な経済成長はあり得なかったことでしょう。その後コンピュータ制御による機械の登場で職人の手加工が必要なくなり、ペーパーがけと組み立てにかぎられる機械加工の家具が大量に普及するようになって行きました。日本では曲線や曲面の加工は職人にとって難しい仕事とされていましたが、NCの登場で曲面加工のデザインが可能になるとNC加工の家具が急速に普及して行きました。折しもクラフトブームは丸面加工の器と相まってあたかもハンドメードのごとく思われたのでした。しかし実はNCによる加工は機械加工であって、ハンドメードとは区別されるべきものでした。仕上げは手仕事によってしかできないものですから、日本ではそれが手加工と思われ工房作家までもが曲面加工を取り入れ、機械加工を手加工で真似る変則的なものとなっていったのでした。柳宗悦の言う手仕事の日本にはもちろん手加工が含まれていたはずですが機械加工が主流になることで手仕事の中の手加工、つまりハンドメードを区別する必要があったのです。本来手仕事とはハンドメードのことでしたが、機械加工が主流になった今日の家具製造では手仕事と手加工は区別しなければなりません。デンマークの家具に手仕事によると書かれているのですが、それはペーパーがけと組み立て作業のことです。加工はほとんどNCなどの高度な機械です。一日何百個も作られる家具と職人の手によて丁寧に作られる家具の値段が違うのはそのためなのです。
FDY工房の価格は職人の技量によって決められた値段となっています。本来ですとそれに販売業者など宣伝量が加わり定価が決められます。そうすると工房出しの2倍近い価格となってしまう場合もあります。工房出し価格は職人が喰っていける最低限度の価格、つまり直接販売の価格に設定されたものであることをご理解いただけましたら幸甚に存じます。
機械で作られた家具は本来安くなるべきですが、そうならないのは職人によってつくられていた家具の値段が機械の値段に置き換えられ、最初は設備投資に掛けられていたものがデザイナーズチェアなどのようなブランド価値にすり替えられていったと考えられます。同じ機械であれば、本来作れば作るだけ安くなって行くべきどころか未だに高い値段で売れている北欧のデザイナーズブランドの戦略には頭が下がる思いです。それに日本が一役買っていることも事実であります。安売りの家具が評判になっていますが、決して批判されるものではないのであって、こちらの方が適切な値段と言った方が妥当かもしれません。ウェグナーやフィンユールの家具がその値段で買えたらこんなすばらしいことはありません。しかしそうなると誰も買わなくなってしまうかも知れませんね!
それに反して職人の技量による家具にはそんな利益はありません。しかし職人の側に残るよろこびがあります。人の手によって作られるものは人間味豊かなものづくりの源泉となるものです。それは機械では決して表せないものです。柳宗悦の言う健康な美は職人の手によってしか生まれ得ないのです。

こうへいのひとりごとより 2015.07.28

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