鉋がけ

先日、久しぶりに台鉋を使った。ベンチの仕上げガンナがけを先回ブログで紹介した折に、桧のカンナがけは難しい、なぜなら刃型が残るからだと書いた。そこでそれまでの寸六の鉋を寸八に替えて使ってみるとうまくいったので、寸八でかけてみることにした。そのために一日かけて鉋の手入れをすることにした。なぜかというと、この寸八は以前、10年ほど前になるかもしれない、私が現役のころ、北陸から回ってくる道具屋を紹介してもらい、工房に来ていただいたことがあった。すでに鉋は使い古しのものばかりであったし、そろそろ新品の良い鉋を!と考えていたのだった。値段は言えないが大枚をはたいて購入をきめたことがあった。それだけのものだから刃物は問題ない。しかし台に問題があることに気づくまではしばらく使ってみるしかなかった。思い起こすと台の木が自分の満足するものではなかったが、昨今の木材不足のことを考慮して妥協せざるを得なかった。その後、何年か使用しているうちに台直しをする段になって問題が出てきた。それは表ではわからなかった刃口のコッパ返しの部分が極端に短いのと角度がほぼ垂直ということが判明したのだった。鉋は季節や湿度などで接する面が微妙に変わる。そのため、台直しという行為を繰り返す必要がある。特に新品のうちは台をならす意味でも早めになる。するとどうしても刃口が大きくなってしまう。刃口が大きくなるのは仕上げガンナにとっては命取りとなってしまう。そのため鉋の台はまさめでできるだけクルイの少ない木を選ぶのだが、刃口の大きくなった鉋は荒仕上に替えるか、刃口を小さくする加工が必要になる。なんとかしなければと考えているうちに最近のことになるが、偶然ある古い道具屋を見つける機会があった。そこにあった鉋が2、30年昔のままの値段の赤樫の鉋であった。まず台を見てみると求めていた木目の台の鉋が数台あるではないか!さっそく1台購入をきめた。退職後、齢のことを考え刃幅の狭い「寸六のものに変えてみるか」と考えていたので、さっそくその寸六の鉋を購入したのだった。
 寸六で刃型がどうしても残ることに苦労したのは私のうっかりミスによるもの、いつのまにか砥石の表面が凸形(人にはわからないほんの僅かなものになっていたことに気づかずに使用していたことが原因であった。砥石は常に真っ平にしておくこと!初歩的ミス!すぐに気づくべきこと、年取ると感が鈍ることによるかも・・・、それよりも時間を置きすぎたことによる。2015.02.15追記
 

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左が寸八鉋、右が寸六鉋
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寸八(63ミリ)と寸六(57ミリ)の刃の違い

今回はその寸六の鉋で失敗をしたので、寸八を使うためにまる1日かけて刃口を狭める加工をした。その加工とは刃口のコッパ返しを削り落として、別の木を張り付けるもので上級の技術が必要となる。加工後の鉋がけの様子が下の写真

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1ミリ削るのに約40枚の鉋屑が出るので一枚の厚みは0.025ミリとなる。一時期、鉋屑を薄く削るコンクールのようなものが流行ったが、これ以上薄くする必要はなにもない。むしろそれでは職人仕事にならない。スポーツとして楽しまれるのは良いのではなかろうか?しかし一つ言わせていただきたいのは、今回の刃口のことに重なることだが、コンクールの鉋には押え刃が必要ない。鉋屑は最初刃口のところでかならず巻き込んでしまう、そのために押えがあるとじゃまになる。コッパ返しが邪魔になる。最近の鉋はコッパ返しが短くなり垂直になってきたのはこのためではなかろうか?言っておくが、コッパ返しは10ミリ、角度は100°から110°は必要なのだ。
下に私が若いころ、家具の町大川で職人にまじって仕事をしていたころ1年間で使い込んだ記念碑的鉋をご紹介しておきます。

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右が使い込んだ寸八鉋

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台直しを重ねているうちに台の厚みも薄くなっていった。

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左の現在の寸八鉋の刃と比較

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鉋の話になるときりがない、それに自慢にならない自慢話になるようで、今までできるだけ避けてきたが、今回しかたがない、この辺までで・・・・・

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