ウィンザーチェア物語  カブリオール脚 コムバック・アームチェア

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コムバック・アームチェア
(カブリオール脚)
 
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制作年:2013年
※正面、平面、側面は1/5模型(アームサポートの形が異なる)
 
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コムバック・アームチェア(カブリオール脚)について
 
昔の椅子にカブリオール脚が取り入れられることによって著しい革新がもたらせられたことが知られているが、それが英国に紹介されたのはウィリアム&マリーの時代(1688-1694)であった。ウィンザーチェアにはそれに遅れること1725年―30年のことで、1750年頃に一般的になった。当時それが似ていることでバンディー(bandy leg ワニ脚)というニックネームが付けられた。批評家達は複雑な形は堅いウィンザーチェアのシートには向いていないとみなしていたが、実際はキャビネットメーカーによって作られる脚の腕木がシートの下部に取り付けられる場所に、うまく見せる工夫が施された。最初に馬の蹴爪を削った脚として登場したようで、1650-1700頃のものが初期のものとして残っている。カブリオール脚は他の家具の流行の後でウィンザーチェアに使用されたと言われている。普通は前脚だけに取り付けられ、後ろ脚は何の飾りもない素のものであったが、一部4本ともカブレオール脚のものもあった。このスタイルは1770年まで流行り、1810年頃までたまに使用された。その後20世紀に復活するまで休眠した。
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左がバンジー脚(わに脚、ガニマタ)といわれたもの
右がシートの下部にうまく見せるための工夫が施された脚
                                 
コムバックウィンザーチェアが最初に描かれた資料として1733年画家によって描かれたガーデンチェアがあるが、実際にはコムバック・ウィンザーが1730年までにガーデンファニチャーとして良く知られ、受け入れられていたということが1708年、フィラデルフィア商人の遺言状にウィンザーチェアと銘記されていることで史実としてわかっている。また18世紀に椅子メーカーのトレードカードにガーデンンチェアとして良く知れ渡っていたということがわかっている。しかしそのこ
ろまでの椅子はゴールドスミス型のスティックバックであってスプラットなしであった。
スプラットを中心にして左右に2本から3本のスティックがある形が現れるのは1750年の記録から18世紀第二四半期のことである。この飾りのない花瓶かクィーン・アンスタイルの手すり子状のスプラットは18世紀中葉初めにウォルナットチェアに人気であったということである。
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この椅子はジョン・ピットとリチャード・ヘウトのカブリオール脚の椅子をモデルに複製再現したものである。
 
木材: 
シート、  ニレ
脚、ぬき、  ブナ
笠木、スプラット、  ブナ
スティック、リボン  ブナ
 
私見:
このカブリオール脚型の椅子はゴールドスミスチェアと時期が同じ頃のものとなっています。しかし共通点は笠木の耳の部分だけで、リチャードの後ろ脚がゴールドスミス型であるところぐらいです。この当時この椅子がウィンザーチェアと呼ばれていたかは疑問に思われるのです。なぜなら、個人作によるもので決して安物とは思えないからでした。私が最後までこの種の椅子を作らずにいたのはカブリオール脚の作り方が不明であったことにもよりますが、一般的に考えられているウィンザーチェアとは異なっていたからでした。長い間、スティワート・リンフォード社の椅子を代用したままにしておりましたが、2011年になって初めてカブリオール椅子に挑戦するためにウィンザースツールをつくってみたのでした。そこでカブリオールが作れることがわかりましたが、その脚をこの椅子にあてはめても、内側に入り込みすぎてどうみても形が整わないのです。図面と1/5模型を比較しながら検討を加えても解決できませんでした。あきらめかけていましたが、思いついてスティワートリンフォード社を訪問した際に、撮影させていただいたビデオを見直してみたところ、ちょうど職人さんがカブリオール脚を加工している現場をたまたま写していたのでした。まさに問題解決になる現場がとらえられていたのです。そこで全ての疑問が解決したのでした。その後完成したのがこの椅子です。それは2013年のことでした。
ウィンザースツールについてはこのブログ、「ウィンザースツールの作り方」を参照
 
※ おことわり
正面、平面、側面は1/5模型になっています。それはアームサポートの形が曲げ木になっていることに後で気づき、1/5模型で作り直したからです。将来機会があれば本体も作り直すことも考えています。
 
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