英国ウィンザーチェアの鉛筆画資料による解説 13.ゴールドスミス・ウィンザーチェアのなぞについて


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ゴールドスミス ウィンザーチェア
製作年:1998~2003年
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ゴールドスミス ウィンザーチェアの人間工学の人体プロトタイプへの応用

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2005年 九州産業大学芸術学部デザイン学科山永研究室作成
小原二郎監修:渡辺秀俊・岩澤昭彦著の「インテリアの人間工学」より

人間工学のいすのプロトタイプⅢ型をゴールドスミス ウィンザーチェアの
側面図に合成してみたところ、みごとに一致しました。18世紀初期に
すでに現代の人間工学にマッチする椅子が作られていたことに驚愕さ
せられたことが私がウィンザーチェアの複製を作り始めた動機で
もありました。
2017.03.23 加筆

9回のゴールドスミス・ウィンザーチェアの項の続き
ゴールドスミス・ウィンザーチェアのなぞについて その1
 
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ゴールドスミス・ウィンザーチェアより以前に現存するウィンザーチェアはジョン・ピットとリチャード・ヘウトのコムバック・ウィンザーチェア(下図)ということになります。
それ以前のウィンザーチェアがどういうものであったのかはなぞであり想像するしかありません。1740年ころと思われるオックスフォード・ボドレーン図書館のファンバック・サイドチェアやコムバックアームチェア(1776)から創造するしかないのです。もちろん1708年にジョン・ジョンズ商人が所有していたウィンザーチェアがどういうものであったのかもなぞのままなのです。ウィンザーの方向からくる安物の椅子がどんな椅子であったのイメージ 1か?これもなぞのままです。その安物とはゴールドスミス・チェアではなかったのか?これが私の見解であります。その理由の一つがウィンザーチェアが作り始められたころのものはアームチェアであったということです。そのころにはサイドチェアは作られていませんでした。オックスフォードのボドレイン図書館のファンバック・サイドチェアは該当しないことになります。も一つはゴールドスミス・チェアを人に見せた時にシンプルで恰好が良く現代的という感想が聞かれることです。そのとおり現代の家具は当時の装飾過多な重厚で、豪華な椅子と比べて軽くて安っぽく見えるのは皆さん共通ではないでしょうか?今日、ラスバックやスモ-カーズ・ボウなどと比べて、現代の若い人たちが好むシンプルな椅子を我々高齢者が見ると軽く安っぽく感じる感覚と同じようにウィンザー地方から来るゴールドスミス型の椅子を見て、17世紀の人々は驚きをもって迎えたことでしょう。当時、重厚で豪華な家具になれ親しんでいた人々にとって、ゴールドスミスチェアが新鮮ながら、なんだか安っぽく見えたということに納得いただけるのではないでしょうか!繰り返しますが、ウィンザー方面から来る安っぽい家具とはゴールドスミスチェアのことではなかったのか?そうだとするとゴールドスミスの生産された年代は1750年もしくは1760年頃とされていますが(これはオリバー・ゴールドスミスが使用していた時期から想定されたものであって、使い古された跡からして少なくとも50年は遡ると考えられます)1700年前後に遡ることになるのです。ゴールドスミスチェアこそがウィンザーチェアの名称が誕生したそのものの椅子ということになるのです。


 
・・・・・次回につづく
 
 

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