英国ウィンザーチェアの鉛筆画資料による解説 12. スモウカーズ・ボウの変種
スモウカーズ・ボウの変種

ランカシャ ヨークシャ ボウ・バック アームチェア
Lancashire or Yorkshire bow-back armchair c. 1850 onwards
Crispi Thomas: The English WINDSOR CHAIR (ALAN SUTTON, 1991)
スモカーズボウの成功は北ミドランド地方に発展していたボウバック・ウィンザーチェアに工業生産をもたらし、初期のアームボウ・サポートに続けていた旋盤加工をその構造に取り入れたもので、それはヨークシャー、ランカシャー・ウィンザーチェアと呼ばれました。この椅子のベースは丈夫な下部構造とスピンドルの付いたスモーカーズそのもので、トップ・ボウにはアームを突き抜けた構造の雷文のスプラットとスティックが取り付けられていました。スモーカーズ・ボウのアームのセンターのバック・スピンドルは取り外されて短いスプラットに置き換えられていました。

バーガー アームチェア
Berger armchair c. 1860 onwards
Crispi Thomas: The English WINDSOR CHAIR (ALAN SUTTON, 1991)
1860年頃にはスモーカーズボウの変種のようなものも作られました。
1860年頃にはスモーカーズボウの変種のようなものも作られました。平衡なアームボウがスピンドルに支えられてた極端に曲がったアームに入れ替わってバーガー・アームチェアと呼ばれました。19世紀を通して旋盤加工の種々の脚や貫やスピンドルが重く頑丈になっていきましたが、粗雑とも言われたそうです。この特徴は19世紀の終りから20世紀にかけて著しくなっていきました。また後にはヨークシャー、ランカシャー・ウィンザーの脚にロッキングのボウが取り付けられてロッキングチェアとして知られるようになりました。その小さいサイズは子供用椅子としても作られました。
スモウカーズ・ボウについて
19世紀初期ごろまでは優美なデザインだった旋盤削りの脚もどんどんと太く頑丈にになっていき、半ばごろには丈夫な手摺り子型のスモーカーズ・ボウが現れました。スモカーズボウは家庭内やオフィス、研究所、図書館やパブなどで使われ、大量に生産され著しく普及しました。旋盤で丸く削られた7本あるいは9本の糸巻き状のスピンドルはシートに平行な馬蹄型のアームボウを支えていました。アームボウには後ろのセンターに、笠木あるいは襟カラーと呼ばれるものが付けられていました。

スモーカーズ・ボウ
Smoker's Bow
スティワート・リンフォード社製
Stewart Linford Windsor Chairmaker
九州産業大学チェアコレクション
※ 旋盤加工とろくろ加工の違いについて
普通、一般的にはウィンザーチェアの脚には「ろくろ」加工がされていると書かれていますが、専門的に言いますと旋盤加工になります。
ろくろは前刳り加工をさします。
陶磁器などと同じでお椀とかこけしなど、前からの加工をいいます。
ウィンザーチャの脚などの横からの加工は旋盤加工ということになります。
しかし、一般的に木を回転させて加工するものをろくろと言ってますので間違いではありません。
ここではお椀などの加工と区別して旋盤加工としています。
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