英国ウィンザーチェアの鉛筆画資料による解説 10. ウィンザー・セティーとゴシック・ウィンザー

私が大学の国外研修の機会を得てイギリスを訪問したのは1991年のことでした。歴史ある英国家具史に足を踏み入れることへの不安と緊張感をいだいて訪れたヴィクトリア&アルバート・ミュージャム(V&A)で手にしたクリストファ・ギルバートの「イングリッシュ・バナキュラー・ファニチャー」はウィンザーチェアのような大衆の家具に焦点をあてた初めての出版物で、その後あいついで出版されたウィンザーチェアの資料文献にめぐり会うことで「ウィンザーチェアの形態分析研究」に取り組むことができたのでした。もしそれらの文献にめぐり会えてなかったならば、途方に暮れていたにちがいありません。それは奇跡的としか言いようのない出会いでした。以来、今日までに文献研究と実測調査を重ねながら16種16脚のウィンザーチェアを制作してきました。その全容はFDY家具デザイン研究所ホームページに掲載しています。
 
 
※ 16脚中の1脚ウィンザースツールについては、「ウィンザースツールの作り方」をこのブログ4.5.6.ページに連載しています。
 
ウィンザーチェアの全容を明らかにするために何十種類もあるウィンザーチェアから典型的なものを選び、制作して行くうちに16種16脚のウィンザーチェアが結果として出そろいました。その過程で、ウィンザーチェアの中に含まれているものの、例外的な存在でありながら、ウィンザーチェアチェアの発展に大きな役割を果たしたと思われるものが数点でてきました。それらを制作する労力はいまのところみつかりません。そこで、別に鉛筆画資料として以後にまとめることにしました。
 
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セティー
Comb back Windsor settee   c. 1780
Crispi Thomas: The English WINDSOR CHAIR (ALAN SUTTON, 1991)
18世紀中葉には2または3,4個連ねたシートのセティーと呼ばれる
コムバック・ウィンザー現れましたがその数は稀でした。
 
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ゴシック ウィンザー・セティー
Triple Gothic arch Windsor settee  c. 1730-60
London Thames Valley chair making tradition
Cotton, Dr Bernard: The English Regional Chair (Antique Collectors Club, 1990)
ゴシックスタイルウィンザーは18世紀上半期から後半期にかけて建築や家具装飾などの
ゴシックリヴァイヴァルの影響のもとで作られましたが当時テームズ川流域の地に
建てられた館、ホレス・ウォルポール(Horace Walpole)のストロベリーヒル
ゴシックリヴァイヴァルの先駆けとなりました。
 
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ストロベリー・ヒル ゴシック・ウィンザーチェア
Strawberry Hill Gothic Windsor armchair  c. 2770/80
Crispi Thomas: The English WINDSOR CHAIR (ALAN SUTTON, 1991)
ゴシック・ウィンザーはユー(一位の木)とエルム(楡)のシートで作られ
以後ウィンザーチェアの中でも珍重されるようになりました。
アーチ型トップボウは曲げた2本の部材をトップで接合していました。
 
 
 

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