鉋の話  11.完 鉋の推す式から引く式への転換について そのⅢ

 ここまで台鉋の推す式から引く式へ移行する過程を述べて来た。簡単に言えば,突鉋の時代,次にその両翅がとれて引く式の側面を持つ過渡期的推ガンナの時期、そして引き鉋の時代,最後に完成期という過程である。 最初,一足飛びに推す式から引く式へ転換したのではないかと言うことも考えてみた。左手で台頭を推して右手で台の中央部を押えて前方から後方まで…

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鉋の話 10. 鉋の推す式から引く式への転換について そのⅡ

推す式から引く式への転換 14~15世紀に大鋸(縦引鋸)による製材が可能になると,その仕上方法も必然的に変化して来る。それまでの打割方式の材面を手斧ではつり鐁(ヤリガンナ、左図参照)で仕上げ・さらに上等に仕上げる場合は,木賊(トクサ)や掠の葉で磨く方法は必要でなくなって来た。仕上げという面で鐁と同じような目…

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鉋の話 9. 鉋の推す式から引く式への転換について そのⅠ

まえがき 日本の大工が使用している台鉋は周知の如く手前に引いて使用する。今日の日本人にとって不自然でもなんでもないこの使い方は,どうも世界で我国だけの特異な使用法のようである。  第二次世界大戦後,捕虜となった日本兵達が,兵舎を作るために,米兵の指導官から鉋の使い方の教習を受けた。ところが,その米兵の鉋をかける押す…

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